
なぜ、子どもは学校のことを話してくれないのか?
「学校どうだった?」
「別に…」「わからない」「普通」──
多くの保護者が経験するこのやりとり。一生懸命子どもの様子を聞こうとしても、なかなか心を開いてくれない。ときには、「なんでそんなこと聞くの?」と不機嫌になってしまうことも。

特に最初のお子様だったりすると不安になりますよね…。
このような悩みは、思春期の子どもたちによくあることであり、決して特別なケースではありません。しかし、だからといって放っておいていいわけでもなく、子どもが心を開くには、それなりの“きっかけ”と“関係性”が必要です。
この記事では、教師としての現場の視点と、保護者としての家庭の視点を織り交ぜながら、子どもとの関係づくりと会話の工夫について考えていきます。
子どもが話さない“ほんとうの理由”
- 学校で疲れていて話すエネルギーが残っていない
- 嫌だったことをあえて思い出したくない
- 話しても「どうせ否定される」「説教される」と思っている
- 「自分の世界」を守りたいという思春期の心理
つまり、子どもが話してくれない理由は“悪意”ではなく“防衛”や“処理中”の姿であることも多いのです。
実際に、小学生〜高校生までの子どもで「大人に言われたくない言葉」などもニュースで紹介されていました。


出典:日テレNEWS NNN 日本テレビ(2023年5月3日)

親としても教師としてもついつい言ってしまう一言ではないでしょうか?
教師として見える“学校での子ども”の姿
教室では、笑い合い、先生にもよく話す生徒が、家庭では無言──これは珍しいことではありません。
理由の一つは、学校では「話す場面」が意図的に設計されていること。
たとえば、
- ペアトーク
- グループ活動
- 朝の会や帰りの会 など、話さざるを得ない場が多く用意されています。
また、先生は“他人”だからこそ、話しやすいという子もいます。
家庭という“近すぎる存在”では、逆に話すことが恥ずかしくなることもあるのです。

先生として話は聞きやすいけど、パパとしては話を聞きづらいなんていうこともありますね。笑
家庭でできる3つの工夫
- 無理に聞き出さないけれど、関心は伝える
- 「今日の部活の試合負けちゃったけど、チームのみんなと一緒に頑張ってたね。」など、事実をやさしく共有するだけでも効果があります。
- 一緒の“時間”を増やすことが会話のきっかけに
- 買い物、散歩、ゲーム、一緒にお菓子を作る、スポーツをするなど、会話が目的ではない共通体験を持つことが、自然な言葉を引き出します。
- 「話さない=悪いこと」と決めつけない
- 「話したくなったらいつでも聞くよ」と伝えることで、安心できる“出口”を用意しておく。
ダニエル・キム教授の「成功の循環モデル」から学ぶ
組織開発の研究で知られるダニエル・キム教授は、「行動の質を高めるには、まず関係の質を高めることが大切」と述べています。「結果」ではなく「関係」の質にこだわるべきだということです。

これは、家庭にもそのまま当てはめることができます。どれだけ立派なアドバイスや叱責をしても、子どもとの関係性が悪ければ、子どもの心には届きません。
親として大切なのは、お互いに尊重し合う関係づくり。
- 「なんでできないの?」よりも「どうしたらできるかな?」
- 「そんなことも知らないの?」よりも「一緒に調べてみようか?」
常におだてたり、過度に気を遣ったりする必要はありません。ただ、親子であっても「人と人」として、信頼と尊敬の言葉遣いや接し方を大切にしたいところです。

親子とはいえ、あくまで他人同士であることを意識することが大切です。
言葉にできない気持ちを、信じて待つ
- 子どもは、いつか話してくれるかもしれない。でも“今”ではないかもしれない。
- 話したときに、すぐに否定やアドバイスをせず、「そうなんだね」と受け止める準備をしておく。
- 保護者の「聞きたい」を我慢することが、子どもの「話したい」を育てることにつながる。
子どもと信頼関係を築くには
- 「話す」ことをゴールにせず、「関係づくり」を優先しよう
- 話してくれたときは、自然に受け取りすぎず、大げさに喜びすぎず
- 日々の言葉かけ、態度、接し方の積み重ねが、未来の会話をつくる
子どもが話してくれるその日まで、あたたかく、静かに、信じて見守る親でいたいものです。

親として、教師として、正しく声掛けができているかわかりませんが、信じることだけは忘れずに、これからもいたいと思います。See you! 👋
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